書評

ドラッカー『経済人の終わり』(ダイヤモンド社)

 マネジメント学者として著名なドラッカーは、政治学者として活動を始めた。「自由」を守る反全体主義の論陣を張り、ナチスや共産主義を正面から批判していたのだ。政治学者ドラッカーの主著が本書である。本書を一読した英国の首相チャーチルは、...
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田村重信『気配りが9割』(飛鳥新社)

 歴代総理大臣に仕えてきた自民党職員、田村重信氏が実体験をもとに書いた一冊。筆者によれば、気配りとは「目の前にいる人間を少しでも喜ばせようと努力する」ことだ。自民党の政治家で成功している人々は「気配り」の達人だったという。 ...
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ウィリアム ゴールディング『蠅の王』(新潮文庫)

 口喧しい大人たちのいない無人島で仲間たちと暮らしたい。  多くの人々が思春期に空想した憧れではなかろうか。思うに、ジュール・ヴェルヌは、多くの人々の期待に背を押されるようにして『十五少年漂流記』を書き上げ、世界中で愛読者を...
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キケロ『友情について』(岩波文庫)

 思春期の青年少女の悩みの多くが友人に関わる問題だ。上手に友人と付き合うことが出来ないと悩む時期だ。だが、これは何も思春期のみの問題ではない。人間は死ぬまで人間関係の問題を抱え続けて生きていく。  友情とは何か。  そ...
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野村 佳正 『「大東亜共栄圏」の形成過程とその構造:陸軍の占領地軍政と軍事作戦の葛藤』(錦正社)

 「大東亜共栄圏とは何か」と問われて即答できる人は少ないだろう。「それは日本軍のプロパガンダだ」と云う人がいるかもしれないが、それは実態を無視した暴論だ。  本書は軍事史の観点から、「大東亜共栄圏」の構想、成立、そして崩壊に...
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内村 鑑三『代表的日本人』(岩波文庫)

 「最も尊敬する日本人は誰ですか」  米国のケネディー大統領は日本人記者からの質問を受けた。その際、ケネディー大統領は上杉鷹山の名をあげた。多くの日本人記者たちは当惑した。何故なら、彼らは上杉鷹山を知らなかったからである。 ...
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山内廣隆『昭和天皇をポツダム宣言受諾に導いた哲学者:西 晋一郎 昭和十八年の御進講とその周辺』(ナカニシヤ出版)

 西晋一郎という思想家を知る人はどれ程存在するだろうか。戦前、彼が和辻哲郎、西田幾多郎と並び称された思想家であったことまで知る人は更に少ないはずである。忘れ去られた戦前の著名な思想家の一人といってよいだろう。  東京大学文学...
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小林秀雄 岡潔『人間の建設』(新潮文庫)

 日本を代表する文芸評論家と日本を代表する数学者との対談。本書は日本の対談における白眉と言ってよかろう。文藝評論家と数学者とが一体、何を話すのか。日本酒、文学、数学、物理学、特攻隊、小我…。話は多岐に渡るが、対談の随所から両者が紛...
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塩田潮 『密談の戦後史』(角川選書)

 昭和四十五年十一月二十五日。三島由紀夫が森田必勝らとともに市ヶ谷駐屯地で壮絶な割腹自決を遂げ、日本全土に激震が走った日だ。 この晩、総理の座を虎視眈々と狙う田中角栄は、秘書の早坂茂三を伴いながら赤坂の料亭「千代新」の門をく...
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家近良樹『西郷隆盛:人を相手にせず、天を相手にせよ』(ミネルヴァ日本評伝選)

 内村鑑三が名著『代表的日本人』を執筆した際、その筆頭に選んだ人物が西郷隆盛だった。内村は「日本の維新革命は、西郷の革命であった」と指摘し、西郷の偉大さを惜しみなく称賛する。一方、西郷の征韓論を日本帝国主義の源流とし、過激なナショ...
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戸部良一『昭和の指導者』(中央公論新社)

 複数の政治的指導者について一人の人間が取り上げて論ずることは、想像以上に難しい知的営みだ。全くの価値中立的な教科書的な指導者論では読むに値しない。読者に読ませる際に必要なのが、著者自身の指導者を見る眼である。指導者のどこに注目し...
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